モズアスコットはFrankel × India(母父 Hennessy)という良血配合から生まれ、現役時代は芝・ダート双方でG1制覇を達成した稀有な「二刀流」。その適性の広さと完成度は産駒にも受け継がれる可能性が高く、父同様に芝・ダート双方での高いパフォーマンスが期待されます。本記事では、血統背景と競走実績を軸に、産駒の傾向・適性・馬券での狙い方を整理します。
血統背景 欧州的パワー × 米国的早熟性・ダート適性・スピードの融合
Frankel | Galileo | Sadler’s Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Kind | Danehill | Danzig | |
Razyana | |||
Rainbow Lake | Rainbow Quest | ||
Rockfest | |||
India | Hennessy | Storm Cat | Storm Bird |
Terlingua | |||
Island Kitty | Hawaii | ||
T. C. Kitten | |||
Misty Hour | Miswaki | Mr. Prospector | |
Hopespringseternal | |||
Our Tina Marie | Nijinsky | ||
Java Moon |
父Frankelは芝マイル前後で比類ない切れ味と総合力を示した名馬で、産駒にも高い心肺能力とトップスピード持続力を伝えます。母系は米国由来で、HennessyやStorm Catに通じるスピードや先行力・早熟性の要素が強く、スピード持続型の競馬への適性が高いのが特長。これらが組み合わさることで、2歳の早い時期から芝・ダート問わずに活躍できる血統構成になっています。
現役成績 芝・ダートでG1二冠の『二刀流』
体質が弱かった影響もあり、デビューは3歳6月とかなり遅めながら、芝1400〜1600mの条件戦を連勝しで頭角を現し、初のG1挑戦となった2018年・安田記念(芝1600m)を9番人気で制覇。4歳秋〜5歳で成績が停滞したのち、2020年にダートへ転向して即座に適性を開花。根岸S(ダ1400m)→フェブラリーS(ダ1600m)を連勝し、芝・ダート双方でG1勝利という希少な実績を刻みました。すなわち、マイル前後での速い流れに乗りつつ長く脚を使う競馬を得意とし、舞台替わりでも能力を再現できる柔軟性を示しました。
主な勝ち鞍(抜粋)
年月日 | レース名 | 条件 | 距離 | 着順 |
---|---|---|---|---|
2018/06 | 安田記念(GI) | 芝(東京) | 1600m | 1着 |
2020/02 | 根岸S(GIII) | ダート(東京) | 1400m | 1着 |
2020/02 | フェブラリーS(GI) | ダート(東京) | 1600m | 1着 |
産駒の傾向 早めの完成度で2歳戦から芝ダート問わず活躍
産駒は父同様に芝ダートどちらでも勝ち上がり馬が出ており、配合次第で幅広いタイプが出る傾向があります。
また、どちらかというと牡馬はパワーを活かしてダート、牝馬はスピードやキレを活かして芝で活躍しやすい傾向もあります。
母父ヘネシーの影響も出ており、仕上がりの早さとスピードを活かして2歳戦から活躍できるタイプも多く出ており、新馬戦や未勝利戦では注目度の高い種牡馬となっています。
距離適性
今のところ、自身の現役成績同様に1200~1800mでの活躍が目立ちますが、配合次第では弥生賞馬ファウストラーゼンのように芝2000m以上で活躍できる産駒も出てくるのではないかと予想します。
特に牡馬はダートの中距離戦で勝ち上がる産駒も出ており、中距離以上でも活躍できる産駒が増えて来そうな気配があります。
牝馬はファルコンS3着のリリーフィールド、ファンタジーS2着のモズナナスターが出ているように、芝1600m以下でスピードを発揮する産駒が多くなりそうです。
馬場適性
道悪や時計の掛かる馬場を得意とし、洋芝適正も高いです。仕上がりの早さもあり、函館や札幌の新馬戦や未勝利戦で勝ち上がる産駒も多く輩出しています。
大胆なマクり戦法で弥生賞を勝ったファウストラーゼンのように、瞬発力や切れ味勝負よりは、持続力が問われるタフなレースを得意とする産駒が多くなりそうです。
配合面の示唆 サンデーサイレンス系との相性◎
非サンデー持ちで単純に頭数が多いというのもありますが、母父サンデーサイレンス系との相性が良く、代表産駒のファウストラーゼン(母父スペシャルウィーク)を筆頭に活躍馬も多数出ています。
馬券での狙いどころ
- 2歳〜3歳春の芝1200〜1600m 新馬・未勝利での完成度が出やすく、人気妙味も生まれやすい。
- 中山・ローカルなど直線の短いコース 欧州型の父系からくるタフネスを活かせる
- 重・不良や時計の掛かる馬場。父フランケルで洋芝適正も◎
代表産駒
ファウストラーゼン
牡 鹿毛
母:ペイシャフェリス
母父:スペシャルウィーク
調教師:西村真幸
馬主:宮崎俊也
生産者: 友田牧場
主な戦績:弥生賞、ホープフルS3着
ベアバッキューン
牡 黒鹿毛
母:ゴールドマッシモ
母父:ネオユニヴァース
調教師:鈴木義久
馬主:熊木浩
生産者: 守矢牧場
主な戦績:若潮スプリント
リリーフィールド
牝 栗毛
母:ハイリリー
母父:アグネスタキオン
調教師:小崎憲
馬主:吉田晴哉
生産者:追分ファーム
主な戦績:もみじS、ファルコンS3着、兵庫チャンピオンシップ3着
モズナナスター
牝 栗毛
母:グランプリエンゼル
母父:アグネスデジタル
調教師:矢作芳人
馬主:キャピタル・システム
生産者:上村清志
主な戦績:ファンタジーS2着
まとめ
モズアスコットは、芝・ダート双方のマイル前後で結果を残した“二刀流”の実績馬。産駒も早めの完成度×1200〜1600m適性を軸に期待でき、コース・馬場がハマると高い再現性を見せるタイプが出やすい配合です。今のところ人気になりにくく配当妙味もあるので、新馬・未勝利の早い段階から積極的に評価したい血統と言えるでしょう。