インディチャンプ産駒の特徴と傾向|安田記念連覇の名マイラーが種牡馬として登場

インディチャンプ産駒の特徴と傾向|安田記念連覇の名マイラーが種牡馬として登場 競馬

2025年現在、注目を集める新種牡馬の1頭がインディチャンプです。現役時代はマイルGⅠを2勝し、安定した成績を残した同馬。そんなインディチャンプが送り出す初年度産駒たちが、続々と競馬場でデビューを迎えています。

本記事では、インディチャンプ産駒の血統背景競走傾向を詳しく解説し、どのような馬が狙い目になるのかを考察します。

インディチャンプとはどんな種牡馬?

ステイゴールド サンデーサイレンス Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
ゴールデンサッシュ ディクタス Sanctus
Doronic
ダイナサッシュ ノーザンテースト
ロイヤルサッシュ
ウィルパワー キングカメハメハ Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
トキオリアリティー Meadowlake Hold Your Peace
Suspicious Native
What a Reality In Reality
What Will Be

インディチャンプの血統背景

インディチャンプは、父にステイゴールド、母にウィルパワーを持つ良血馬です。日本を代表するサンデーサイレンス系と、世界的な名牝系を併せ持つ血統構成は、競走馬としても種牡馬としても大きな魅力があります。

父系:ステイゴールド〜サンデーサイレンスの粘りと根性
父ステイゴールドは、サンデーサイレンス産駒の中でも晩成型で知られ、香港ヴァーズを含む海外GⅠを制した名馬です。種牡馬としてもオルフェーヴルやナカヤマフェスタといった個性派名馬を輩出しています。

その父サンデーサイレンスは、Halo → Hail to Reason → Turn-toというアメリカ由来のスピードと底力を受け継ぐ血統。インディチャンプも父譲りの根性としぶとさをレースで発揮していました。

母系:ウィルパワー〜名牝トキオリアリティー系のスピード
母ウィルパワーはキングカメハメハ産駒で、自身は未出走ながら繁殖として大成功。インディチャンプのほか、シルクロードSを勝ったアウィルアウェイ(父ジャスタウェイ)の母でもあります。

母父キングカメハメハは、日本競馬を代表する種牡馬であり、Mr. Prospector → Raise a Nativeというスピード血統に、Miesqueという名牝の血も入っています。

さらに母系をさかのぼると、トキオリアリティー(Meadowlake産駒)の牝系にたどり着きます。この系統はWhat a RealityやIn Realityといった、アメリカのスピード・パワー型の血が強く、近年日本競馬で成功している「米国牝系×欧州・日本型父系」の好例といえる構成です。

近代日本競馬の結晶とも言えるサンデー系×キンカメ配合
インディチャンプは、サンデーサイレンス系×キングカメハメハという近代日本競馬を代表する配合の種牡馬です。日本のスピード競馬にうってつけの配合ともいえますが、ある意味完成形の配合となっており、種付相手の選択肢はかなり狭くなってしまうといった問題も抱えています。

ただ、最近ではノーザンファームなどの大手牧場を中心にサンデーサイレンス系の種牡馬と配合しやすい海外繁殖を積極的に導入する流れもあり、同じくサンデーサイレンスとキングカメハメハを持つドゥラメンテがリーディングサイアーを獲得していることからも、意外となんとかなってしまう可能性も考えられます。

とはいえ、やはり日本の繁殖牝馬は多くがサンデーサイレンスやキングカメハメハの血を持つため、大きなハンデになることは間違いないでしょう。

総合評価:スピードと粘りを兼ね備えた配合
インディチャンプは、粘り強い父ステイゴールド系と、瞬発力とスピードに優れた母系を併せ持ち、マイル路線で安定感のある成績を残しました。

産駒にも、バテずに伸びる持続力と、勝負どころでの反応の良さを伝えており、マイル〜中距離での安定感に期待が集まります。

血統面から配合相手が限られるというハンデはありますが、産駒の活躍次第では海外繁殖などが回ってくる可能性もあるため、今後の動向には注目です。

インディチャンプの現役時代

インディチャンプは2017年12月の新馬戦を快勝して華々しいデビューを飾ると、その後も着実に勝ち星を積み重ね、マイルGⅠ戦線を牽引する名マイラーへと成長しました。通算成績は23戦8勝。日本および海外のマイルGIで数々の激戦を演じ、多くのファンを魅了しました。

インディチャンプの代表的な勝利は、2019年の安田記念マイルチャンピオンシップのGI2勝。特に安田記念では、最強牝馬アーモンドアイやアエロリットといった強豪を破り、1分30秒9の驚異的なタイムで優勝。名実ともに最強マイラーの座に上り詰めました。

同年秋のマイルCSでは3番人気ながら鋭い末脚を繰り出してダノンプレミアムらを下し、GⅠ連覇を達成。さらに翌2020年のマイラーズCでも1着を飾るなど、1600m戦で安定感抜群の走りを見せ続けました。

インディチャンプの特徴は、常に上位に食い込む安定した成績です。2020〜2021年の安田記念・マイルCSでもすべて掲示板(4着以内)を確保。GIでも安定して上位争いを演じる勝負強さが際立ちました。

また、2021年にはスプリント戦線にも挑戦し、高松宮記念ではダノンスマッシュに僅差の3着。芝1200〜1800mまで幅広い距離でハイレベルなパフォーマンスを発揮しました。

2019年・2021年には香港マイルに挑戦し、いずれも掲示板圏内と善戦。海外の強豪相手にも見劣りしない走りを見せ、国際GI級の実力を証明しました。

2021年の香港マイル5着を最後に現役を引退。引退レースでも見せ場十分の内容で、その走りに多くのファンが喝采を送りました。

インディチャンプは、「GIでも常に勝ち負けできる安定型マイラー」として日本競馬のマイル路線を支え続けた存在でした。その強さと安定感は、今後産駒にも確実に受け継がれていくことでしょう。

インディチャンプ産駒の特徴

血統的な特徴

インディチャンプは、父ステイゴールド × 母父キングカメハメハという血統構成を持ちます。血統だけを見ると芝の中距離向きのイメージを受けますが、現役時代のインディチャンプは芝1600mを中心としたマイル戦で抜群の強さを誇りました。

産駒はまだデビューしたばかりでサンプル数は限られるものの、早くも短距離〜マイル戦でスピード能力を発揮する傾向が見られます。これは、母系にある「トキオリアリティー」の影響が色濃く反映されている可能性が高いと考えられます。

祖母トキオリアリティー自身は目立った競走実績こそないものの、芝・ダートの短距離戦で勝ち星を挙げたスピード型。繁殖牝馬としては優秀で、アイルラヴァゲイン(父エルコンドルパサー/オーシャンS勝ち、NHKマイルC・スプリンターズS3着)、リアルインパクト(父ディープインパクト/安田記念勝ち)、ネオリアリズム(父ネオユニヴァース/QE2世C勝ち)など、多くの活躍馬を輩出しています。

このような背景から、インディチャンプ産駒は母系由来のスピードと瞬発力に、父ステイゴールド系の勝負根性とタフネスが加わり、芝のマイル戦を中心に安定した走りを見せるタイプが多くなると予想されます。

距離適性

父の現役成績やこれまでの産駒傾向から距離は2000mまで、芝1400〜1800mがベストであることが予想されます。

特に芝マイル戦で先行もしくは中団から粘り強い脚を武器に活躍する産駒が多くなりそうです。

中長距離はこなす産駒も出てくるとは思いますが、キタサンブラックやエピファネイアなど、他のライバル種牡馬の産駒に分がありそうです。

脚質傾向

先行〜差しタイプが多めで、中団からの長く良い脚を使う馬が目立つことが予想されます。

一瞬のキレよりも「ジワっと伸びる持続力型」が多くなるのではないでしょうか。

ダート適性

同じ父ステイゴールドのオルフェーブルがダート路線で活躍する産駒を多く出しており、母父キングカメハメハも同様であることから、ダートをこなす産駒を出しても良さそうに見えますが、基本は芝が主戦場の産駒が大半を占めると予想しています。

馬体傾向

インディチャンプ産駒は、筋肉質でバランスの取れた体型をしており、全体的にしっかりとしたつくりの馬体を持っています。父ステイゴールド系に見られる小柄な傾向よりも、母系のパワーを受け継いで短距離やマイル戦向きの馬体に出るケースが多いのも特徴です。

インディチャンプ産駒の注目馬

タイセイボーグ
牝 鹿毛
母:ヴィヤダーナ
母父:Azamour
調教師:松下武士
馬主:田中成奉
生産者:ノーザンファーム

半兄に京都2歳S2着のダノンメジャー(父ダイワメジャー)、近親にカドラン賞を勝った仏の名ステイヤーVazirabadがいる血統。すでに6月の阪神芝1400mの新馬戦で勝ち上がりを決めています。


フィオラーノ
牡 鹿毛
母:カツンダモン
母父:エンパイアメーカー
調教師:吉田直弘
馬主:ローレルレーシング
生産者:グランデファーム

すでに6月の函館芝1200mの新馬戦で勝ち上がりを決めています。


イトシサ
牡 鹿毛
母:アルビアーノ
母父:Harlan’s Holiday
調教師:田中博康
馬主:TNレーシング
生産者:ノーザンファーム

母アルビアーノはスワンSを勝ちNHKマイルC2着・高松宮記念3着と短距離~マイルでスピードを発揮した実力馬です。スピードに特化した配合になっており、本馬にも短距離~マイルでの活躍が期待できます。

まとめ:インディチャンプ産駒は「勝負根性型マイラー」が狙い目

インディチャンプの産駒は、

  • 芝のマイル戦で持続力を発揮
  • 先行~中団からじわじわ伸びる展開が得意
  • 父のように東京や阪神外回りで力を出すタイプが多い

という傾向が予想されます。母系のスピードと父系の粘りが融合した形で、今後クラシック路線というよりは、マイル・1400mの路線で重賞級が現れる可能性があります。

POGや馬券の参考に、ぜひチェックしておきたい新種牡馬です。