メイショウタバルが宝塚記念を制したことで、さらに注目が集まっているゴールドシップ産駒の特徴や傾向を独自に分析し、まとめてみました。
ゴールドシップの血統について
| ステイゴールド | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| ゴールデンサッシュ | ディクタス | Sanctus | |
| Doronic | |||
| ダイナサッシュ | ノーザンテースト | ||
| ロイヤルサッシュ | |||
| ポイントフラッグ | メジロマックイーン | メジロティターン | メジロアサマ |
| シエリル | |||
| メジロオーロラ | リマンド | ||
| メジロアイリス | |||
| パストラリズム | プルラリズム | The Minstrel | |
| Cambretta | |||
| トクノエイティー | トライバルチーフ | ||
| アイアンルビー |
ゴールドシップは、父ステイゴールド × 母父メジロマックイーンという名高いニックス配合の産駒です。この組み合わせはかつて「ステマ配合」とも呼ばれ、本馬の他にも三冠馬オルフェーヴルなどの活躍馬を輩出したことで大きな注目を集めました。
父ステイゴールドは、サンデーサイレンス産駒の中でも晩成型として知られ、香港ヴァーズで国際G1制覇を果たした名馬です。サンデーサイレンス系の特徴である成長力としなやかな体質を受け継ぎながらも、ステイゴールドは自身の競走生活で苦労を重ねた経験からか、産駒には個性派やクセの強い気性を受け継ぐことも少なくありません。ゴールドシップもその例に漏れず、豊富なスタミナと勝負根性を武器に天皇賞(春)や菊花賞といった長距離G1で活躍した一方、レースで見せる気まぐれな一面もまた魅力のひとつでした。
母ポイントフラッグは、名ステイヤー・メジロマックイーンを父に持ちます。メジロマックイーンは天皇賞（春）を連覇した長距離王で、母父としてもそのスタミナと持続力を産駒に伝えることで評価されています。
このように、ゴールドシップは父からは「成長力と勝負根性」、母系からは「スタミナと持続力」を受け継いでおり、まさに中長距離戦に特化した理想的な配合となっています。
ゴールドシップの血統は、「スタミナ＋勝負根性＋個性」が融合した構成です。特に父ステイゴールド系と母メジロマックイーン系の組み合わせは、長距離レースにおけるパフォーマンスを高める鉄板配合とも言われています。実際にゴールドシップは皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念など、2400m以上のG1で多数の勝利を収め、血統の持つ適性を存分に体現した競走馬でした。
現役時代
主な戦績：天皇賞(春)、宝塚記念連覇、有馬記念、菊花賞、皐月賞
類まれなる個性とスタミナを武器に、ファンの記憶に深く刻まれた名馬・ゴールドシップ。その現役時代は、気まぐれな走りで一喜一憂を巻き起こしながらも、GI6勝を含む圧巻の実績を誇ります。
ゴールドシップは「共同通信杯」で重賞初勝利を飾ると、クラシック第一冠「皐月賞」で18番手追走からの強烈な追い込みを決め、GⅠ初制覇を成し遂げました。その後の「東京優駿（日本ダービー）」では5着に敗れたものの、「神戸新聞杯」で再び勝利を挙げ、「菊花賞」では3コーナー早め進出から押し切る堂々のレースで二冠を達成。クラシック世代の頂点に立ちました。
年末のグランプリ「有馬記念」では、古馬を相手に最後の直線で力強く抜け出し見事優勝。3歳でのグランプリ制覇は実力の証でした。この年、GⅠ3勝を挙げて最優秀3歳牡馬に選出され、名実ともにスターホースの仲間入りを果たします。
翌2013年には「阪神大賞典」を快勝後、「天皇賞（春）」は5着と不発したものの、「宝塚記念」でダノンバラードを圧倒して優勝。続く秋は不完全燃焼に終わるも、2014年春には「阪神大賞典」で連覇を達成し、さらに「宝塚記念」では直線力強く抜け出してグランプリ2連覇を達成。2015年春には「天皇賞（春）」で内から抜け出し、GI6勝目を挙げました。
しかし、その後の「宝塚記念」や「ジャパンC」、「有馬記念」では彼らしいムラのある結果に終わり、ラストランとなった2015年有馬記念では8着に敗退。波乱と歓喜に満ちた競走生活に幕を下ろしました。
ゴールドシップの魅力は、単なる強さにとどまりません。後方待機から豪快にまくる競馬、時にスタートで立ち上がるなどの“気まぐれさ”、そして圧倒的なスタミナと非凡な勝負根性。ゴールドシップは、常に予測不能で、だからこそファンの心を掴んで離しませんでした。
種牡馬入り後
ゴールドシップは現役を引退した2016年から、ビッグレッドファームで種牡馬としてのキャリアをスタートしました。社台入りこそなりませんでしたが、初年度の種付料は受胎条件で250万円に設定され、109頭の繁殖牝馬を集めるなど、注目度の高さがうかがえました。
初年度産駒からはブラックホールとサトノゴールドがデビューし、札幌2歳ステークスではこの2頭がワンツーフィニッシュを決めて話題に。その後はしばらく重賞勝ち馬に恵まれない時期が続くなど苦戦しましたが、ユーバーレーベンがオークスを制し、待望のGI初制覇を果たしました。
ユーバーレーベンの他にも、ウインマイティーがオークス3着に入るなど、牝馬の活躍が目立つ傾向も見られましたが、メイショウタバルが宝塚記念を制するなど、ついに牡馬の大物も登場し、種牡馬ゴールドシップとしての存在感をより一層高めています。
代表産駒
メイショウタバル
牡 鹿毛
母父：フレンチデピュティ
主な戦績：宝塚記念、神戸新聞杯、毎日杯
ユーバーレーベン
牝 青鹿毛
母父：ロージズインメイ
主な戦績：オークス
マイネルグロン
牡 青鹿毛
母父：ブライアンズタイム
主な戦績：中山大障害、東京ハイジャンプ、阪神スプリングJ
マイネルエンペラー
牡 黒鹿毛
母父：ロージズインメイ
主な戦績：日経賞
ウインキートス
牝 黒鹿毛
母父：ボストンハーバー
主な戦績：目黒記念
ウインキートス
牝 芦毛
母父：カコイーシーズ
主な戦績：オークス3着、マーメイドS
注目のゴールドシップ産駒一覧・まとめ
以下の記事でゴールドシップ産駒の注目馬をまとめています。現役馬はもちろん、今後デビューする2歳馬や1歳馬についても紹介しています。
産駒の傾向
ゴールドシップ産駒には、いくつか共通した特徴が見られます。まず大きな傾向として、牝馬の活躍が目立つ点が挙げられます。ユーバーレーベンやウインマイティーなど、重賞やGIで好走する牝馬が多く、フィリーサイアー（牝馬に強い種牡馬）としての性質が色濃く表れています。
これはスタミナ・パワー寄りの種牡馬によく見られる傾向で、牡馬だとスピード不足だが牝馬ならスピードや切れ味を兼ね備えた馬が出やすいことが原因になっていると思われます。
また、父譲りのスタミナを活かした走りを見せる産駒が多く、芝の中長距離を主戦場としています。3000m級のレースにも対応できる持久力を備えており、さらに障害GIを制した産駒も現れるなど、豊富なスタミナと勝負根性が魅力です。
レース距離としては芝の1800m以上を得意とし、短距離やダートではあまり好成績を残していない傾向があります。芝の中距離から長距離でこそ、その血統の良さが最大限に発揮されるといえるでしょう。
また、芝の1800mや2200m、2500mなどの非根幹距離で強さを発揮する傾向もあり、マイネルエンペラーが日経賞、ウインキートスが目黒記念と2500mの重賞を制しています。
脚質傾向
ゴールドシップ産駒の得意とする勝ちパターンは、豊富なスタミナを活かして逃げ・先行からの粘り込みや、ゴールドシップ自身も得意としていたロングスパートのマクリです。
切れ味鋭い末脚で差し切るタイプは少数派になるので、必然的に直線の長い東京などよりはローカルを得意とする産駒が多い傾向となっています。
まとめ
ゴールドシップは、その独特な気性と豪快なレーススタイルで多くのファンに愛された名馬でした。現役時代には皐月賞や菊花賞、有馬記念、宝塚記念などGIを6勝し、グランプリホースとして圧倒的な存在感を示しました。
引退後は種牡馬としてビッグレッドファームで新たなキャリアをスタートさせ、ユーバーレーベンのオークス制覇やメイショウタバルの宝塚記念勝利など、着実に結果を残しています。牝馬の活躍が目立つ一方で、近年は牡馬からも大物が登場し、その種牡馬としての評価も年々高まっています。
父ステイゴールド譲りのスタミナと、母系に流れる底力を受け継いだゴールドシップ。その血は今も競馬界に受け継がれ、次世代のスター誕生へとつながっています。気まぐれで予測不能な魅力を持ちながらも、確かな実力で結果を残した“ゴルシ”。彼の存在は、これからも語り継がれていくことでしょう。
