ロジャーバローズは、ディープインパクト産駒の中でも「先行持続力」という一点において、歴史的なパフォーマンスを見せた馬です。ダービーでは超ハイペースの中、2番手追走からそのまま押し切るという驚異的なスタミナとスピードの持続力を証明しました。種牡馬としても、その「バテない強み」を産駒に伝えており、瞬発力勝負になりやすい現代競馬において、自らペースを作って粘り込む独特の立ち位置を築いています。
血統背景
| ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| ウインドインハーヘア | Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| リトルブック | Librettist | Danzig | Northern Dancer |
| Pas de Nom | |||
| Mysterial | Alleged | ||
| Mysteries | |||
| Cal Norma’s Lady | リファーズスペシャル | Lyphard | |
| My Bupers | |||
| June Darling | ジュニアス | ||
| Beau Darling |
父ディープインパクトに、母リトルブック(母の父リブレット)という構成です。特筆すべきは、近親に名牝ジェンティルドンナがいる超一流の牝系出身である点です。母父のリブレットはダンジグ系で、英国のスタミナとスピードを補完する役割を果たしています。この血統背景が、ディープ系らしい軽さと、どんなに速い流れでも音を上げない粘り強さの源泉となっており、産駒にも「バテずに伸び続ける」資質として受け継がれています。
現役時代
現役生活はわずか6戦。しかし、その中身は非常に濃いものでした。日本ダービーでは、後に海外G1を制するラヴズオンリーユーの全兄という良血を背景に、驚異のレコードタイム2分22秒6で快勝。
一瞬のキレ味で勝負する多くのディープ産駒とは異なり、高い心肺機能を活かして速いラップを刻み続ける「前走りのディープ」として異彩を放ちました。故障により早期引退を余儀なくされましたが、その持続力特化型の能力は種牡馬として非常に魅力的な資質となっています。
得意コース・条件
産駒の最大の持ち味は、上がりの速い勝負よりも「道中のラップが緩まない持続力勝負」にあります。 コースとしては、直線の坂を苦にしない中山競馬場や、先行力が活きる内回りコースを得意とします。また、父がレコードで制したように、開幕週の時計の出る馬場(高速馬場)での先行押し切りが最も得意なパターンです。距離は1800メートルから2400メートルまで幅広くこなしますが、総じて「自分から動いて持久戦に持ち込める」条件でパフォーマンスが上がります。
苦手コース・条件
苦手とするのは、スローペースからの「純粋な瞬発力比べ」です。 一瞬でトップスピードに乗るギアチェンジ能力には欠ける面があるため、東京競馬場のスローな上がり3ハロン勝負などでは、先に抜け出しても最後にかわされるシーンが目立ちます。また、ダート適性については、芝での持続力が持ち味なだけに、パワー勝負になりやすい砂の深い馬場では苦戦する傾向があります。包まれて揉まれる競馬も好まず、自分のリズムで走れないと脆さを見せることがあります。
成長型の特徴
成長型は「3歳春から本格化する充実型」です。 仕上がり自体は早く、2歳の早い段階からデビュー可能ですが、真価を発揮するのは馬体が絞れ、心肺機能がさらに高まる3歳以降です。父同様、一度型にハマると崩れない安定感があり、使い込みながらレース体力をつけていくタイプが目立ちます。急激な変化よりも、一戦ごとに走りの質が高まっていく堅実な成長曲線を描きます。
代表産駒
オーキッドロマンス
牡 鹿毛
母:エキナシア
母父:スニッツェル
調教師: 手塚貴久
馬主:ミルファーム
生産者:ミルファーム
主な戦績:ファルコンS2着、京王杯2歳S3着
マテンロウバローズ
牡 鹿毛
母:エキナシア
母父:スニッツェル
調教師: 昆貢
馬主:寺田千代乃
生産者:ムラカミファーム
主な戦績:スプリングS4着
オメガウインク
牝 芦毛
母:レッドルンバ
母父:Red Ransom
調教師: 大和田成
馬主:原禮子
生産者:岡田スタッド
主な戦績:フィリーズレビュー5着
サクセスカラー
牝 鹿毛
母:レインオンザデューン
母父:Frankel
調教師:久保田貴
馬主:柴田実千代
生産者:飛野牧場
主な戦績:クイーンC4着
総評
ロジャーバローズ産駒は、派手なキレ味こそないものの、「先行して粘り込む」という競馬の基本に忠実なタイプが多いのが特徴です。 馬券的には、スローペースが予想されるレースよりは、ある程度流れる展開での「先行・粘り込み」を狙うのが定石です。ディープインパクト系の中でも、特にタフな持続力に特化した血統として、中距離戦線での「粘り強い穴馬」を多く送り出す存在と言えるでしょう。

