イスラボニータは、フジキセキの後継種牡馬として、父譲りの「高い完成度」と「卓越したスピード」を産駒に伝えています。自身が10戦連続で馬券圏内(3着以内)に入った安定感そのままに、産駒も大崩れしにくい堅実さが特徴。芝のスプリントからマイルを中心に、早い時期からコンスタントに稼いでくれる、馬券的にも非常に計算の立ちやすい血統です。
血統背景
| フジキセキ | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| ミルレーサー | Le Fabuleux | Wild Risk | |
| Anguar | |||
| Marston’s Mill | In Reality | ||
| Millicent | |||
| イスラコジーン | Cozzene | Caro | フォルティノ |
| Chambord | |||
| Ride the Trails | Prince John | ||
| Wildwook | |||
| Isla Mujeres | Crafty Prospector | Mr. Prospector | |
| Real Crafty Lady | |||
| Lido Isle | Far North | ||
| She Is Gorgeous |
父フジキセキに、母イスラコジーン(母の父Cozzene)という配合です。フジキセキ産駒らしい「仕上がりの早さ」と「スピード」に、母父コジーンが持つ「しなやかさ」と「持続力」が加わっています。サンデーサイレンス系の中でも、特に「スピードの持続性能」に特化した構成であり、現代の日本の高速馬場に非常に高い適性を持っています。
現役時代
通算成績25戦8勝。2歳時から東スポ杯2歳Sを制するなど早熟性を見せ、3歳時には無傷の連勝で皐月賞を制覇しました。その後、古馬になってもマイルチャンピオンシップで僅差の3着に入るなど、長く高いレベルを維持。最大の特徴は、抜群の「機動力」と、どんな展開にも対応できる「センスの良さ」でした。この器用さが産駒にも色濃く受け継がれています。
得意コース・条件
産駒は父から受け継いだ「抜群のセンス」と「先行・機動力」を最大の武器としており、トリッキーな設定や器用さが求められる条件で無類の強さを発揮します。
最も得意とするのは、中山・小倉・福島・函館といった小回りコースです。ゲートセンスが良く、スッと好位につけられる産駒が多いため、コーナーを器用に回って直線で内から抜け出すような、ロスのない競馬で本領を発揮します。特に直線の短いコースでの先行策は安定感が抜群で、他馬が外を回して加速に手間取っている間に、一足早く抜け出して押し切る形が理想的な勝ちパターンです。
距離適性は1200メートルから1600メートルに集中しています。特に1400メートル戦のような、スピードと粘り強さの両方が問われる「非根幹距離」での信頼度が非常に高いのが特徴です。1200メートルの電撃戦でも、ただ速いだけでなく、勝負どころでスッと反応できる「機動力」があるため、多頭数の混戦でも大崩れしにくい強みを持っています。
馬場状態は、父同様に「軽い芝の良馬場」を好みます。パンパンに乾いた芝で、内枠を引いた際の信頼度は現役種牡馬の中でもトップクラスです。ラチ沿いをピッタリと走り、一瞬の加速で進路を確保する立ち回りができるため、開幕週の馬場や、内有利なトラックバイアスが発生している状況は絶好の買い時となります。
馬券的には、東京の長い直線で自力を問われるレースよりも、ローカル開催のメインレースや、中山の芝1600メートル(外枠が不利なコース)での内枠引きなど、「立ち回りの上手さが着順に直結する条件」で最も狙い目となる血統です。
苦手コース・条件
産駒は「器用さと完成度」が武器である反面、「直線の長い外回りコースでの自力勝負」や「タフな消耗戦」においては、底力の面で限界を露呈する傾向があります。
まず、コース形状としては、東京や新潟(外回り)のような広くて直線の長いコースでの「末脚の絶対量」を競う展開を苦手とします。イスラボニータ産駒の脚は、一瞬でスッと抜けてくる「機動力」が本質であり、数分間にわたってトップスピードを維持し続ける持続力や、上がり3ハロンで32秒〜33秒台前半を要求される究極のキレ勝負では、より直線の長いコースに特化したディープインパクト系などに屈してしまいます。
また、距離の壁も比較的明確です。2000メートルを超えると、父譲りの前向きすぎる気性が仇となり、道中で脚を使い果たしてしまう場面が目立ちます。特に、中山の芝2500メートルや阪神の芝2200メートルのような、スタミナとパワーが同時に問われる非根幹の中長距離戦では、最後の一踏ん張りが利かずに甘くなる傾向があります。
さらに、「重い馬場」や「タフなダート」も明確な苦手条件です。軽いスピードを身上とするため、洋芝(特に雨を含んだ状態)や、力が要る荒れた馬場では自慢の機動力が削がれてしまいます。ダートに関しても、芝でのスピードがあるために初挑戦で人気になることがありますが、砂の深いコースではパワー不足で脚が止まってしまうことが多く、芝専用機としての側面が強いのも特徴です。
馬券的には、人気を背負った状態での「東京コースの差し・追い込み」や、2000メートル以上への「距離延長」、そして「道悪での上位人気」の際には、評価を割り引くのが賢明と言えるでしょう。
成長型の特徴
典型的な「早熟・早仕上げ型」です。 2歳戦の早い時期から動ける産駒が多く、仕上がりの早さでは全種牡馬の中でも屈指。早い段階で自身のスタイルを確立するため、若駒のうちはその完成度の高さだけで他を圧倒します。古馬になっても極端な衰えは見せませんが、大幅な成長(上積み)よりも、その高いレベルをどれだけ長く維持できるか、というタイプが多い傾向にあります。
総評
イスラボニータ産駒は、「センスと機動力で稼ぐ優等生」です。 派手な爆発力よりも、堅実な先行力と立ち回りの上手さが魅力。馬券的には、軸馬としての安定感が非常に高く、特に内枠を引いた際の信頼度は抜群です。大物狙いよりも、的中率を重視したい場面で非常に重宝する血統と言えるでしょう。

