本記事では、近年注目を集めている新種牡馬「アドマイヤマーズ」の産駒傾向や特徴について詳しく解説します。競馬予想や馬券購入時における血統分析の参考にしていただければ幸いです。
アドマイヤマーズについて
アドマイヤマーズは、父に名マイラーのダイワメジャーを持ち、自身もマイル路線で華々しい実績を残したスピード馬です。2018年の朝日杯フューチュリティステークスを皮切りに、2019年にはNHKマイルカップ、さらに海外遠征では香港マイルを制するなど、国内外でマイルGIを3勝。短距離~マイル戦線における強さを証明しました。
日本ではかつて「早熟マイラー」は種牡馬としての評価がやや低い傾向にありましたが、近年はスピードの絶対値が求められる2歳戦・短距離戦の重要性が増しており、アドマイヤマーズのような早熟スピード型の血統が改めて注目されています。
種牡馬としては社台スタリオンステーションで種付け料300万円からスタートし、初年度には115頭の種付けを達成。スタートとしては堅調な数値で、現場からの期待度の高さもうかがえます。
芝の短距離~マイルがベストな舞台
アドマイヤマーズ産駒の特徴として最も顕著なのは、芝1400~1600mにおける安定した成績です。これは父ダイワメジャーと同様で、スピードと先行力に優れる馬が多く、テンの速さを活かして前々で押し切るレース展開が得意なタイプが目立ちます。
代表産駒のエンブロイダリーは、芝1600mを中心に無傷の3連勝で桜花賞を制覇しましたが、2400mのオークスでは距離不安が的中する形で9着。これは産駒の限界距離が2000m前後にあることを示唆しています。
また、仕上がりの早い馬が多く、新馬戦や未勝利戦といった早期デビュー戦での勝率が高い点も大きな特徴です。2歳戦がスタートする夏競馬から狙っていけるのは馬券的にも大きなアドバンテージになります。
ダート適性は限定的、芝でこそ真価を発揮
ダートでも走る馬は存在するものの、現時点では芝に比べると明らかに成績が落ちる傾向にあります。特に人気を集めている場合は過信せず、血統・馬体面などの要素を含めて見極めが必要です。
一部にはパワー型の母系を持つことでダートに適性を示す産駒もいますが、基本的には芝マイル路線での活躍を軸に考えるべき種牡馬です。
牝馬の活躍が目立つフィリーサイアー傾向
アドマイヤマーズ産駒は、現時点で牝馬の活躍が目立つ点も注目ポイントです。桜花賞馬エンブロイダリー、紅梅ステークス勝ち馬ナムラクララなど、重賞・オープンレベルでの実績馬はほとんどが牝馬となっています。
この傾向は、父自身が小柄で俊敏なタイプだったこと、また母系にスピード型の牝系を導入されているケースが多いことに起因している可能性があります。今後もフィリー限定戦や牝馬重賞でアドマイヤマーズ産駒の台頭が期待されます。
代表産駒と主な戦績
ここでは、これまでに目立った活躍を見せている代表産駒を紹介します。
馬名 | 母父 | 主な戦績 |
---|---|---|
エンブロイダリー | クロフネ | 桜花賞、クイーンカップ |
ナムラクララ | Storm Cat | 紅梅ステークス |
テレサ | Nathaniel | アルメリア賞(リステッド) |
ジャルディニエ | Wildcat Heir | アスター賞 |
特にエンブロイダリーは今後の牝馬クラシック路線において中心的存在となり得る存在であり、アドマイヤマーズの種牡馬価値をさらに高める可能性を秘めています。
競馬場別の成績傾向|得意・不得意がはっきり分かれる
アドマイヤマーズ産駒は2024年にデビューしたばかりであり、現時点では出走数・サンプル数ともに限られています。そのため、以下のデータは今後の出走・活躍によって変動する可能性が高いことに留意する必要があります。
とはいえ、すでにいくつかのコースで明確な傾向が見られる点もあり、現段階でも参考になるデータを抽出することが可能です。以下に、主な競馬場別の特徴を整理しました。
関東圏では東京芝が好成績
東京競馬場の芝1400mでは勝率42.9%、複勝率57.1%と非常に高い数字を記録しており、長い直線で末脚を活かす競馬が向いていることが分かります。芝1600mでも連対率44.4%と安定しており、東京芝マイル戦は今後も注目したい舞台です。
一方で東京のダート戦では勝利がなく、やや苦戦傾向にあります。ダートでは力を出し切れないケースが多いと見られます。
中京・新潟の芝1400mも高回収率
中京芝1400mでは勝率27.3%、複勝率45.5%、新潟芝1400mでは2戦2連対と安定感があり、いずれも直線が長く、スピードを活かしやすいコースでの好成績が目立ちます。
小回りや洋芝はやや苦戦
札幌芝1500mや1800mでは出走3戦・1戦と少ないながらもいずれも連対なしと苦戦が目立ちます。小回りかつ洋芝という特殊な条件が合わない可能性があり、今後の蓄積による検証が必要です。
阪神・京都・小倉では中距離が鍵
阪神芝1600mでは勝率25%、芝1800m(外回り)では1戦1勝(勝率100%)と条件さえ合えば結果を出しています。小倉芝1800mでも複勝率66.7%と安定感があり、直線に余裕のあるコースでは能力を発揮できるようです。
まだデータは少ないが初期傾向は有望
- 東京・中京・新潟の芝1400~1600mは好走率・回収率ともに高く狙い目。
- 小回りや洋芝(札幌・函館)はやや割引が必要。
- 関西の中距離戦では今後のサンプル蓄積に注目。
- ダート戦では全体的に成績が低調。
繰り返しになりますが、アドマイヤマーズ産駒はまだデビューから日が浅く、成績データも限定的です。現時点での傾向を参考にしつつ、今後の出走数増加に伴う傾向の変化にも注視していくことが重要です。
POGでのアドマイヤマーズ産駒指名はアリか?|早期デビュー+芝マイル適性が魅力
POG(ペーパーオーナーゲーム)での指名馬選びにおいては、早期始動・2歳戦での活躍・賞金加算が大きなカギとなります。その観点から見ると、アドマイヤマーズ産駒は十分に指名候補として魅力的な存在と言えるでしょう。
仕上がりの早さが最大の武器
アドマイヤマーズ自身が2歳6月の新馬戦でデビュー勝ち→朝日杯FS制覇という早熟ぶりを見せていたこともあり、産駒にも仕上がりの早さが色濃く出ています。すでに2024年世代でも新馬戦から勝ち上がる産駒が複数現れており、早期デビューが期待できる厩舎に入った馬は特に狙い目です。
芝マイル路線での稼働力が高い
産駒の傾向としては芝1400〜1600mでの好走が目立ち、重賞クラスでも対応できるスピードを持つ馬がいます。クラシック戦線での活躍こそ未知数ですが、2歳重賞や早期マイル重賞を狙えるタイプとしては非常に有力です。
牝馬に注目、フィリー指名戦略に最適
現時点では牝馬の活躍が多く、牝馬限定戦での安定感が目立ちます。桜花賞を制したエンブロイダリーのように、短期決戦型で早期から稼いでくれる存在がPOG戦略では大きな武器になります。牝馬中心のPOG指名枠にアドマイヤマーズ産駒を加えるのは非常に理にかなった選択です。
指名時のチェックポイント
- 所属厩舎:早期デビューに積極的な厩舎(例:中内田厩舎など)との組み合わせは狙い目。
- 調教時計:芝向きの軽快な動きが見られれば評価アップ。
- 母系のスピード血統:母父がクロフネ、Storm Catなどスピード型だと好相性。
クラシック路線よりマイル短距離重視の戦略で
POGではクラシックでの活躍も重要視されますが、アドマイヤマーズ産駒は「2歳重賞~桜花賞前後までに稼ぐタイプ」が主力となる可能性が高く、前半戦重視の指名戦略にフィットします。
マイル重賞路線に適性があり、早期デビュー×フィリー重賞狙いという視点で指名すれば、POGの序盤戦でポイントを大きく伸ばす可能性を秘めています。
まとめ|早熟マイラー型として注目の種牡馬
- 芝1400~1600mが最も高いパフォーマンスを発揮できる距離帯。
- 仕上がりが早く2歳戦から狙える産駒が多く、新馬戦から好成績。
- ダートは走る馬もいるが、全体的には芝に軍配が上がる。
- 牝馬の活躍が目立ち、今後も牝馬路線中心に注目。
- 距離延長には限界があり、2000mを超えると割引が必要。
アドマイヤマーズは、早期からの活躍を期待できるマイラー系の新種牡馬として、今後の短距離・マイル路線を盛り上げる存在になるでしょう。2歳戦や芝マイルのレースでは積極的に産駒を狙っていくことで、馬券的にもプラスになる場面が多いと予想されます。