グレーターロンドンは、体質の弱さから出世は遅れたものの、マイルから中距離で見せた瞬発力は間違いなく現役トップクラスでした。全姉に重賞馬ダイワエルシエーロがいる良血であり、種牡馬としてもその「キレ味」を産駒にしっかりと受け継いでいます。少ない産駒数ながらも、ロンドンプランなどの重賞勝馬を輩出しており、一撃の魅力を秘めた「一芸特化型」の種牡馬として注目されています。
血統背景
| ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| ウインドインハーヘア | Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| ロンドンブリッジ | ドクターデヴィアス | Ahonoora | Lorenzaccio |
| Helen Nichols | |||
| Rose of Jericho | Alleged | ||
| Rose Red | |||
| オールフォーロンドン | Danzig | Northern Dancer | |
| Pas de Nom | |||
| Full Card | Damascus | ||
| Belle of the Ball |
父ディープインパクトに、母ロンドンブリッジ(母の父ドクターデヴィアス)という配合です。母はファンタジーステークスを制し、桜花賞でも2着に入った快速馬。この母系はダイワエルシエーロ(オークス)やビッグプラネット(アーリントンカップ)など、早い時期からスピードを発揮する馬を多く出しています。ディープのキレと、母系の早熟なスピードが融合した、非常に「日本競馬の芝」に適した血統構成です。
現役時代
通算成績15戦7勝。デビューから無傷の5連勝を飾り、一時は「ディープインパクトの最高傑作」の一角と目されました。蹄の不安(裂蹄)に悩まされ続けましたが、引退レースの中京記念を制して重賞ウイナーの仲間入りを果たしました。最大の特徴は、どんな展開からでも上位に食い込んでくる異次元の末脚です。特に、直線の長いコースで見せる加速性能は、種牡馬としての最大の武器となっています。
得意コース・条件
産駒は父から受け継いだ「究極の瞬発力」を最大の武器としており、上がりの速さが要求される条件で無類の強さを発揮します。
最も得意とするのは、東京・京都・中京といった直線の長い芝コースです。特にマイル前後の距離(1400メートルから1800メートル)において、道中でしっかりと脚を溜め、直線で大外から一気に加速する形が理想的な勝ちパターンです。ディープインパクト系の中でも、一瞬のギアチェンジ能力に長けており、他馬がバテるのを待つのではなく、自らのスピードだけで他を置き去りにする異次元の末脚を繰り出します。
また、馬場状態は「時計の出る高速決着の良馬場」を極めて得意としています。パンパンに乾いた軽い芝であればあるほど、その鋭いキレ味が際立ち、1分32秒台や33秒台の決着になるようなマイル戦では、人気薄であっても上位を飲み込む爆発力を秘めています。
意外な適性として、芝1200メートルでの差し切りも目立ちます。スプリント戦でも追走に苦労しないスピードの絶対値があるため、小回りコースであっても直線だけで全頭をごぼう抜きにするような、派手な追い込みを決めるのがこの血統の特徴です。馬券的には、外枠からスムーズに加速できる状況や、開幕週の綺麗な芝で行われる短距離からマイル戦において、一撃必殺の狙い目となる種牡馬です。
苦手コース・条件
苦手とするのは、「スタミナを要する長距離」や「力の要るダート」です。 瞬発力に全振りの適性であるため、2000mを超える距離では最後の一踏ん張りが利かない場面が多く見られます。また、ダート適性は極めて低く、砂の深い馬場やパワー勝負では持ち味のスピードが完全に封じられてしまいます。小回りコースでの器用な立ち回り勝負も、不器用な産駒が多いことから、取りこぼしの原因となります。
成長型の特徴
成長型は、「早熟・持続型」です。 母系の影響もあり、2歳の早い段階からスピードを発揮します。初年度産駒のロンドンプランが小倉2歳ステークスを驚異的な末脚で制したように、若駒のうちから完成度の高いキレを見せます。一方で、父が体質の弱さを抱えていた影響か、産駒もコンスタントに使い続けるのが難しい面があり、フレッシュな状態での激走を繰り返すタイプが多く見られます。
代表産駒
キョウエイブリッサ
牡 鹿毛
母:キョウエイポズナン
母父:ルーラーシップ
調教師:武市康男
馬主:田中晴夫
生産者:山口義彦
主な戦績:朝日杯FS4着
総評
グレーターロンドン産駒は、現代競馬において「キレ味に特化したロマン砲」的な存在です。 アベレージは決して高くありませんが、ハマった時の爆発力はG1級の片鱗を感じさせます。馬券的には、常に「一発の可能性」を秘めた追い込み馬としてマークすべきで、特に高速馬場でのスピード決着が予想される際には、決して無視できない血統と言えるでしょう。
