2021年に三冠馬として現役を引退し、2022年から種牡馬入りしたコントレイル。
ディープインパクト最後の後継種牡馬として、多くの期待を背負っています。
まだ産駒はデビュー前またはデビュー直後の段階ですが、血統背景や母系の傾向から、将来的な特徴・適性を予測することは可能です。
本記事では、コントレイル産駒の特徴や傾向を、血統的観点や現役時代の特性から読み解いていきます。
コントレイルとは
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
ウインドインハーヘア | Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
ロードクロサイト | Unbridled’s Song | Unbridled | Fappiano |
Gana Facil | |||
Trolley Song | Caro | ||
Lucky Spell | |||
Folklore | Tiznow | Cee’s Tizzy | |
Cee’s Song | |||
Contrive | Storm Cat | ||
Jeano |
父ディープインパクト×母ロードクロサイト(母父Unbridled’s Song)という血統背景を持ち、現役時代は無敗でクラシック三冠を達成。その後もジャパンカップを制覇し、芝の中距離〜長距離で安定した実力を発揮しました。
母系には米国型のスピード血統があり、仕上がりの早さやスピード性能も兼ね備えていた点が特徴です。
血統から見る産駒の傾向予測
芝向きで中距離タイプが中心か
コントレイル自身が芝の1800〜2400mで結果を出していたこと、また父ディープインパクト譲りの切れ味と持続力を併せ持っていたことから、産駒も基本的には芝向き・中距離得意の傾向が出ると予想されます。
特に大物は自身や父と同様に芝の1800〜2400mで軽いスピードを発揮するタイプに出る可能性が高いと見ます。
- 1600〜2200mが主戦場となる可能性が高い
- スローからの切れ味勝負に強い馬が多く出る可能性あり
母父の影響によって多様なタイプが出る可能性
コントレイルの初年度産駒には、母系に米国血統を持つ繁殖牝馬との配合が多数見られます。
そのため、スピードに秀でた早熟型や、短距離〜マイル適性の強いタイプが出てくる可能性も高いでしょう。
特に牝馬においては、スプリンター寄りの馬が誕生することも考えられます。
さらに、父ディープインパクト×母系米国血統(たとえば母父ストームキャット)という配合からキズナやリアルスティールといった種牡馬が登場し、ダート適性のある産駒を多く輩出している実績も見逃せません。
コントレイル産駒においても、母系が米国型である場合、芝だけでなくダートで活躍する馬が出てくる可能性は十分にあるでしょう。
仕上がりの早さと成長曲線
コントレイルは現役時代、デビューから無敗でホープフルステークス(G1)を制し、クラシック三冠へと駆け上がりました。このことから、産駒にも早い時期から高い完成度を見せる「早期始動タイプ」が多く出ることが予想されます。
血統的にも、父ディープインパクト譲りの柔らかくバネのあるフォームと、母系に含まれる米国型のスピード要素が組み合わさっており、「仕上がりの早さ」と「競走馬としての完成度の高さ」が特徴となるでしょう。
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2歳夏〜秋に新馬・重賞での活躍が期待
コントレイル自身が2歳戦で高いパフォーマンスを見せていたように、産駒も早期デビューから素質を開花させる可能性が高いです。特に芝のマイル前後では、完成度とスピードで他馬を圧倒するようなタイプが現れる可能性があります。 -
早熟型というより“高完成度型”の成長曲線
単なる早熟ではなく、2歳時点で完成度が高い一方で、3歳〜古馬になってもパフォーマンスを維持・向上できる持続的な成長力も備えていると見られます。これは父ディープインパクト産駒の中でもクラシック戦線で活躍し、古馬になっても力を落とさなかった系統に見られる傾向です。 -
無理なく仕上がるタイプが多い可能性
気性の良さとバランスの取れた馬体を受け継いでいれば、調教過程での負荷にも柔軟に対応できる産駒が増えると予測されます。これにより、デビュー前の故障リスクが低く、厩舎としても扱いやすい存在となるでしょう。
全体として、コントレイル産駒は「早期に結果を出しつつ、クラシック戦線でも成長を見せる」理想的な成長曲線を描く存在として、多くの厩舎から注目を集めることになりそうです。
母父Unbridled’s Song配合のスワーヴリチャードの成功も追い風に
父コントレイルはサンデーサイレンス系の代表格であり、母父にUnbridled’s Songを持つ血統構成です。この配合と同じ組み合わせからは、すでにスワーヴリチャードが種牡馬として高い成功を収めています。
スワーヴリチャードは初年度産駒からホープフルSと有馬記念を制したレガレイラを輩出するなど、早期から高い素質馬を送り出しています。サンデー系のしなやかさと、Unbridled’s Song系のパワーと完成度が融合した好例といえるでしょう。
この血統構成は、芝の中距離において切れ味と持続力を兼ね備えた競走馬を生み出しやすく、コントレイル産駒においても同様の成功パターンが期待されます。血統的にも実績が証明されており、今後のクラシック戦線に向けて大きな強みとなる可能性があります。
注目のコントレイル産駒一覧(2025年デビュー世代)
コニーアイランド
牝 青毛
母:ヤンキーローズ
母父:All American
厩舎:中内田充
生産:ノーザンファーム
馬主:サンデーレーシング
母ヤンキーローズは豪G1馬で、スピードと仕上がりの早さに優れた南半球血統の良血牝馬。
その母に父コントレイルを掛け合わせた本馬は、三冠牝馬リバティアイランドの妹にあたる超良血馬です。
姉譲りの瞬発力と柔らかな身のこなしに加え、父コントレイルの持つ完成度の高さが融合すれば、2歳戦からクラシック路線に直結するような活躍も十分視野に入ります。
仕上がりの早さとスケール感を併せ持つ配合で、厩舎も育成に定評のある中内田厩舎。
姉に続く華やかな戦績を築けるか、2025年世代の中でも注目度は群を抜いて高い1頭です。
サガルマータ
牡 青鹿毛
母:コンヴィクションII
母父:City Banker
厩舎:福永祐一
生産:ノーザンファーム
馬主:前田幸治
セレクトセール2023当歳部門において、税抜き5億2000万円という超高額で落札されたことで話題を呼んだ1頭。
父は三冠馬コントレイル、母コンヴィクションIIは現役時代にアルゼンチンのG1・ヒルベルト・レレナ大賞を制した実績馬で、南米らしい底力とスタミナに富んだ血統背景を持つ。
父の持つ日本型の完成度と瞬発力に、母系由来の持続力とパワーが融合し、芝中距離以上での活躍が見込まれるスケール感のある配合。
管理するのは父コントレイルの主戦を務めた福永祐一調教師で、その血と資質を最も理解する人物のもとでの育成にも大きな期待がかかる。
父の後継として、そしてクラシック戦線の主役候補として、2025年世代の中でも屈指の注目株といえる存在。
ユマハム
牡 鹿毛
母:カルティカ
母父:Rainbow Quest
厩舎:田中博康
生産:社台ファーム
馬主:TNレーシング
母カルティカは、仏G1コロネーションSを制した名牝Qemah(ケマー)を輩出し、日本でも菊花賞馬アスクビクターモアを産んだ世界的良血の名繁殖牝馬。
ユマハムはその半弟にあたる超良血馬で、父に日本三冠馬コントレイルを迎えた配合は、日本と欧州の頂点血統が融合した“夢の血統”とも言える存在。
2023年のセレクトセール当歳部門では、2億5000万円で落札され、その期待値の高さが大きな話題を呼んだ。
芝中距離を中心に、母系由来の持続力とスタミナ、そして父譲りの完成度と瞬発力を併せ持つタイプとして注目されている。
柔らかくしなやかな身のこなしからは高いポテンシャルが感じられ、成長を促しながらクラシック戦線を視野に入れる素材といえる。
兄アスクビクターモア同様、タフな展開での持続力勝負にも対応可能で、厩舎の育成次第では早い段階から重賞戦線に名乗りを上げることも期待される。
ダノンセフィーロ
牡 青鹿毛
母:ガリレオズソング
母父:Galileo
厩舎:福永祐一
生産:下河辺牧場
馬主:ダノックス
母ガリレオズソングはアメリカでGIIIを2度2着した実績馬で、父は名種牡馬ガリレオ。兄にダートオープン馬ビヨンドザファザー、姉に芝で複数勝利を挙げたオーロラエックスがいる良血馬です。
ダノンセフィーロは2023年2月に下河辺牧場で誕生し、現在の馬体重は518kg。
2025年4月に福永祐一厩舎へ入厩し、すでにゲート試験に合格しています。
福永調教師も期待しており、「気性も穏やかで扱いやすい」と高く評価しています。
育成現場からも「跳びが大きく、バランスが良い」「パワーと心肺機能に優れる」との声があり、POGやクラシックを見据える有望株として注目されています。
マジョレルブルー
牡 黒鹿毛
母:ブルーミングアレー
母父:シンボリクリスエス
厩舎:友道康夫
生産:社台ファーム
馬主:社台レースホース
母ブルーミングアレーは、現役時代にフローラステークス3着の実績があり、姉のランブリングアレーは中山牝馬ステークスを制し、ヴィクトリアマイルでも2着に入った活躍馬です。
さらに近親には、アメリカのG1馬でBCクラシック2着のFlower Alley、日本のG1馬トーセンラーやスピルバーグなどがおり、血統背景の優秀さは折り紙付きです。
名門・社台ファームの生産馬で、管理するのはクラシック戦線に強い友道康夫調教師。
陣営によるとデビューは秋以降になる見込みとのことですが、父コントレイル譲りのバランスと持続力に期待がかかります。
芝の中距離を中心に、大舞台での活躍が楽しみな1頭です。
ラルクアンレーヴ
牡 黒鹿毛
母:シュガーハート
母父:サクラバクシンオー
厩舎:清水久詞
生産:ヤナガワ牧場
馬主:インゼルレーシング
母シュガーハートはスプリンターとして名高いサクラバクシンオーを父に持ち、繁殖牝馬としても大成功を収めています。中でも代表産駒は、天皇賞・春をはじめとするG1を7勝した名馬キタサンブラック。現在は種牡馬としてもイクイノックスやクロワデュノールなどを輩出し、大きな注目を集めています。
本馬ラルクアンレーヴは、そのキタサンブラックの半弟にあたる血統馬であり、父がコントレイルに替わったことで、より柔らかさや切れ味が加わることが期待されています。
兄が歴史的名馬であるだけに、期待は否が応でも高まりますが、厩舎はキタサンブラックを管理した清水久詞厩舎という点でも大きな注目が集まっています。芝の中距離〜長距離での活躍が見込まれ、今後の育成と仕上がり次第では、クラシック戦線を賑わす存在になる可能性も十分です。
エーデルゼーレ
牡 黒鹿毛
母:カラライナ
母父:Curlin
厩舎:堀宣行
生産:社台ファーム
馬主:社台レースホース
母カラライナはアメリカで活躍した名牝で、エイコーンステークス、CCAオークス、ラトロワンヌステークスというG1レースを3勝した実績があります。父Curlinは北米を代表する名種牡馬で、ミスタープロスペクター系のスピードと、Deputy Minister由来のパワー・完成度を兼ね備えた血統です。
これまで母カラライナの産駒は目立った活躍馬を出せていませんが、現役時代の実績や血統背景を考えれば、そろそろ大物を出しても不思議ではありません。本馬エーデルゼーレは、その筆頭候補といえる存在です。
父には日本三冠馬コントレイルを迎え、米国的なパワーと日本型のしなやかさが融合した配合となっており、芝・ダート両方に適性を示す可能性を秘めています。特に母系の影響を強く受けた場合、ダート中距離での台頭も視野に入るでしょう。
管理するのは、クラシック戦線でも豊富な実績を持つ堀宣行調教師。名門・社台ファーム生産の好素材として、血統・育成体制ともに申し分なく、今後の成長と実戦でのパフォーマンスに注目が集まります。
ランズダウンロード
牡 黒鹿毛
母:シユーマ
母父:Medicean
厩舎:木村哲也
生産:ノーザンファーム
馬主:サンデーレーシング
母シユーマはアイルランド生産、フランス調教の名牝で、2012年にサンチャリオットステークス(英G1)とE.P.テイラーステークス(加G1)を制した欧州・北米双方のG1勝ち馬です。
母父メディシアン(Medicean)はイギリス生産の種牡馬で、現役時代はマイル〜中距離で活躍し、種牡馬としては中距離向きのしなやかさと持続力、精神面のタフさを伝えることで定評がありました。産駒は欧州芝の中距離戦で安定した実績を残し、良馬場・重馬場を問わず対応力に優れていた点も特徴です。
そのような欧州的な持続力とスピードの下地に、父として日本の無敗三冠馬コントレイルを掛け合わせたランズダウンロードは、しなやかさと完成度を兼ね備えたハイブリッドな競走馬として注目されています。
管理するのは木村哲也調教師。育成はノーザンファームによる一流体制で、国内クラシックはもちろん、将来的には海外遠征も視野に入るスケールの大きな1頭といえるでしょう。