ホッコータルマエは、父キングカメハメハ、母父チェロキーランという配合から、究極の「ダート持続力」を受け継ぎました。
現役時代の、何度かわせそうになっても抜かせない驚異的な勝負根性と、全国どこの競馬場でも力を出し切るタフさは、産駒にも色濃く継承されています。
派手なキレ味こそありませんが、泥臭く、しぶとく、そして確実に着金を拾い上げるその姿は、まさにダートの職人集団と呼ぶにふさわしいものです。
血統背景
| キングカメハメハ | Kingmambo | Mr. Prospector | Raise a Native |
| Gold Digger | |||
| Miesque | Northern Dancer | ||
| Pasadoble | |||
| マンファス | ラストタイクーン | トライマイベスト | |
| Mill Princess | |||
| Pilot Bird | Blakeney | ||
| The Dancer | |||
| マダムチェロキー | Cherokee Run | Runaway Groom | Blushing Groom |
| Yonnie Girl | |||
| Cherokee Dame | Silver Saber | ||
| Dame Francesca | |||
| アンフォイルド | Unbridled | Fappiano | |
| Gana Facil | |||
| Bold Foil | Bold Forbes | ||
| Perfect Foil |
父キングカメハメハからは高い身体能力を、母父のチェロキーラン(ランウェイ系)からは北米ダートのスピードと持久力を引き継いでいます。この組み合わせにより、日本の重い砂でも止まらない、パワーと持続力が高い次元で融合しました。また、母母父にはスタミナの代名詞であるマッドコート(ニジンスキー系)も入っており、これらが重なり合って、距離が伸びてもバテない「タルマエ流」のスタミナが形成されています。
現役時代
通算成績39戦17勝。特筆すべきは、2013年から2015年にかけての圧倒的な安定感です。川崎記念3連覇を含むG1級レース10勝は、当時の歴代最多記録でした。どんなに厳しい展開でも大崩れせず、自ら動いて勝ちに行く横綱相撲が持ち味で、砂を被っても、長距離移動が重なっても動じない、心身のタフさが世界トップレベルにあることを証明し続けました。
得意コース・条件
産駒の主戦場は言うまでもなくダートです。特に中距離(1700m〜2000m)での安定感は現役種牡馬でもトップクラスです。 コースとしては、コーナーを4回回る小回りコースを最も得意とします。特に、内枠から先行してしぶとく粘り込む形が王道で、「中京ダート1800m」や「中山ダート1800m」、そして地方交流重賞が行われる地方各場での信頼度は絶大です。また、時計のかかる「良馬場のダート」でこそ、他馬がバテる中で最後まで伸び続けるスタミナが際立ちます。
苦手コース・条件
苦手とするのは、「芝のレース」と「超高速の泥んこ馬場(不良馬場)」です。 芝への適性は極めて低く、基本的にはダート専科と考えて間違いありません。また、スピードの絶対値が問われる軽すぎるダート(田んぼのような不良馬場)や、1200m以下の短距離戦では、加速が間に合わず後方のまま終わってしまうシーンが見られます。直線の長い東京コースでの瞬発力勝負も、本質的には不向きです。
成長型の特徴
成長型は「晩成型の持続型」です。 2歳の早い時期から勝ち上がる馬もいますが、本領を発揮するのは3歳の夏を過ぎ、馬体がガッシリとしてきてからです。父同様に使い込みながら力をつけるタイプが多く、4歳、5歳と年齢を重ねるごとに「しぶとさ」が増していきます。一気に素質で突き抜けるというよりは、一戦一戦の経験を糧に階段を上っていく、堅実な成長曲線を描きます。
代表産駒
メイショウフンジン
牡 黒鹿毛
母:シニスタークイーン
母父:シニスターミニスター
調教師:西園正都
馬主:松本好隆
生産者:宮内牧場
主な戦績:佐賀記念
レディバグ
牝 青鹿毛
母:フェバリットガール
母父:ダンスインザダーク
調教師:北出成人
馬主:ゴールドアップ・カンパニー
生産者:ゴールドアップ・カンパニー
主な戦績:スパーキングレディーC
ブライアンセンス
牡 黒鹿毛
母:ヒラボクビジン
母父:ブライアンズタイム
調教師:斎藤誠
馬主:林正道
生産者:谷川牧場
主な戦績:マーチS
総評
ホッコータルマエ産駒は、「馬券の軸としての安定感」が最大の売りです。 特に地方交流重賞では、そのタフな精神力と持続力が武器となり、人気以上に走ることが多々あります。芝からのダート替わりや、距離延長での一変を狙うのがこの血統の醍醐味です。現代のダート界において、父が築いた「不屈の魂」を最も色濃く継ぐ、質実剛健な血統と言えるでしょう。

